2011年3月23日水曜日

アンチFacebookのスタートアップCanvasのCEO「匿名性は信頼性」:実名では生み出せない様々な価値




日本が震災に見舞われていたころ、アメリカでは音楽、フィルム、インタラクティブのコンベンション、SXSWが開催されていました。

そのコンベンションのキーノートスピーチに立った一人が、実名にこだわるFacebookのCEO Mark Zuckerberg氏の真逆の立場をとる、Christopher Poole氏。

若干22歳でこのステージに立ったChristopher Poole氏は、15歳のときに"moot"という名前で匿名コミュニティの4chanを立ち上げた人物。その彼が2008年に23歳でZuckerberg氏が立ったのと同じSXSWのステージで紹介したのが、現在クローズドβ公開中のCanvasという4chanをより現代的なインタラクティブな仕様にした新しいSNS(上図)。

もちろんデフォルト設定は匿名。

そんなChristopher "moot" Poole氏に関する記事がなかなか面白かったのでその一部をご紹介。

ユーザーが「匿名」で投稿する"anti-Facebook"の4chanの設立者として知られるPoole氏は、ステージで匿名性を賞賛し、ZakerbergはWeb上での実名の使い方に関して「完全に間違っている」とし、聴衆にこう言いましたた「匿名にこそ信頼性がある」。

「オンラインの匿名性はくだらないものを生み出す一方、体制の反対派や、告発者、疾病患者などにとっては非常に重要です」とTor プロジェクトのexecutive director、Andrew Lewman氏は言います。

Poole氏はまた、匿名性は人々をリスクから解放しイノベーションを生む、としています。


告発という点ではその急先鋒はかの有名なWikileaksでしょうし、多くの人が利用する実名コミュニティで深刻な疾病について語る、というのは確かに現実的な感じがしません(公開されている方もいると思いますが)。
 
また、匿名性が有効活用されているのは特別な話ではなく、例えば新聞の政治面で、「党内幹部の一人はこう話す」「関係筋によると」などと匿名でのコメントが掲載されるのは日常(その際の記者の義務は情報源を公開しないこと)。
 
Facebookの注目が高まるたびに取りざたされる、「実名 vs. 匿名」ですが、実名が匿名を完全に駆逐するなんてことはなく、ユーザーによる使い分けが進むだけなんでしょうね。ただ、一般的に「ビジネス」という面からは実名制のほうに(拡がりやトラフィックを生む力、ターゲティングのしやすさ等)分があるのは確かだと思います。

ところでこのエントリを書きたくなったきっかけは、実は下のような2チャンネルの書きこみでした。


震災後の「不謹慎」という見えないルールの中で、実名ではこういうこと書けないけど、書きたくなる気持ちはなんとなくわかりますし、さながらWar roomの様相を呈していたタイムラインから抜け出してこれらを読んだ時、正直和みました。
 
匿名性が生む信頼性、というようなお堅い話ではなく、こんなところにも匿名性の良さはあるよな、と感じます。
 
※Canvasのβ版の参加にはFacebookコネクトを必要としていますが、これについてPoole氏は「サインアップする人たちが本物であることを確かめる必要があるため」とコメントしています。



ご参考










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