2010年7月20日火曜日

3日間で1100万回以上視聴されたP&Gのバイライル動画キャンペーン:Alyssa Milanoをバスタオル一枚にさせてしまったThe Old Spice Man

Procter & Gambleが、先週注目を集めるバイラルキャンペーンを行いました。 そのキャンペーンの主人公となったのが、上のCMに出てくる"The Old Spice Man"ことIsaiah Mustafa氏。
The Old Spice Manのように男らしい香りを身につけようではないか、というのがCMのコンセプトで、YouTubeチャンネルには過去の面白いCMがそろっています。Isaiah Mustafa氏は元NFLプレイヤーで、2月のスーパーボウルの広告で登場したとのこと。
さて、そのOld SpiceのCMが先週のViral chartでTop3を独占しました。しかも先週だけで合計700万回以上の視聴数になっています。
via adage.com 
そのような快挙を生んだキャンペーンとは、TwitterをはじめとするソーシャルメディアとYouTubeを連動させたものでした。
それも普通の動画ではなく、Twitter上のインフルエンサーにあてた挨拶でした。
2日間の大キャンペーンで、チームは180もの"挨拶"動画を作成した。それは結婚のプロポーズに始まり(彼女は受理した)、様々なセレプリティとのやり取りを含むものでした。それは例えば、Ellen DeGeneres, Demi Moore, Christina Applegate, Alysa Milano, George Stephanopoulos, オリンピックスピードスケート選手のApolo Ohno, ゴシップブロガーのPerez Hilton, テック・かジェット系ブログのGizmodo, スタンリーカップチャンピオンのChicago Blackhawks そしてFacebookde1千万にんものファンがいるStarbucks でした。
In a two-day blitz, the team produced more than 180 video "shout-outs," including a marriage proposal (she accepted) and exchanges with celebrities including Ellen DeGeneres, Demi Moore, Christina Applegate, Alysa Milano, George Stephanopoulos, Olympics speed skater Apolo Ohno, gossip blogger Perez Hilton, tech gadget blog Gizmodo, Stanley Cup champions Chicago Blackhawks and Starbucks (which now has 10 million fans on Facebook). (businessinsider.com)

キャンペーン自体は、以下の3ステップからなるシンプルなもの。
・事前にソーシャルメディアを通じて、Old Spice Manへの質問を募集
・寄せられた質問の中からいい内容や影響力のある人への返事を動画で撮影
・撮影した動画をTwitterなどで本人に対して発言する
バイラルが最初に広がったきっかけと見られているのが、Digg.comの創業者であるKevin Rose氏(フォロアー数約117万人)に宛てた動画。
OldSpice: @kevinrose feeling better? http://digg.com/comedy/Get_Well_Ke… (07/13/2010 11:31:30 PM from web)
「良くなったかい?」という内容で投げかけられたこのツイート、実は下にあるように6日間も熱と肺炎に苦しんだというKevin氏の現状を踏まえたもの。
kevinrose: Day 6 of the fever/pneumonia, first day I've felt semi normal, fever @ 99F, now back to bed, enjoy your saturday all, make the most of it! (07/11/2010 12:18:18 PM from Twitter for iPhone)
しかもつけられているリンクは直接YouTubeではなく、Diggに投稿された動画のリンクになっています。
実際の動画がこちら。 
やぁ、ケビン、体の調子はどうだい?よくなっているといいな。俺自身は一度も風邪をひいたことがない。なぜなら体の98%が筋肉でできていて、筋肉は病気にならないから。俺の体で筋肉でない1%は両耳だ。耳は軟骨でできているからな。だが調べてみるとそうではないようで、耳は熱を出さないらしい。これって俺たち2人にとってすばらしいことだって思わないか?つまり、俺は肉体において明らかに勝っていて、お前はインターネットの天才だから知性で抜きん出ている。お前の明晰な頭脳と、俺の強靭な肉体と、ワイルドでハンサムなこの顔ががひとつになったら、どう思う?いや、それはお前にはできない。俺にも。誰にも。なぜなら、脳が爆発すると考えるのは健康的ではないからな。ではケビン、ありがとう。いや、お前の天才的なコンピュータ言語で言おう。10010110100001101。(一部意訳です。。。)
これにKevin氏が「これまでで最高の動画!」と反応。 

kevinrose: HOLY SH*T, best get well video EVER from the old spice man!: http://bit.ly/dpSeOs (07/14/2010 4:17:30 AM from Tweetie for Mac)
結果、6千回以上もdigg(日本で言うと"はてぶ")されることとなります
さらに凄いのが、 Kevin氏のこのツイートを引用した動画を作っているところ。それを見たKevin氏は「ストーカーされている!」と驚くほど
また、このやり取りを見ていたGuy Kawasaki氏(フォロアー数約25万人)が紹介したところ、 
GuyKawasaki: Old Spice dude replies on Twitter with personalized videos http://idek.net/2pAw (07/14/2010 2:20:33 AM from API)
Old Spice マンが、「@guykawasaki、ビデオを広めてくれてありがとう。ところで、girl kawasaki はいないの?」と、もちろん動画つき返答
これを見てわかるように、動画とツイートは、反応に対するフィードバックも製作されていた、しかもリアルタイムで、ということのようです。
圧巻はバスタオル1枚になってしまったAlyssa Milano氏(フォロアー数約94万人)のこの動画でしょう。
ちなみにここでAlyssa Milano氏は、$100,000 をメキシコ湾の原油流出事故の復旧に寄付することをThe Old Spice Manに提案しています。
こうした、個別のユニークな動画とTwitterを繰り出し続けた結果は、上にご紹介したCM動画の700万回以上の視聴に加え、
Old SpiceのTwitterフォロアー数は1,000%以上も増え、約600,000人がFacebookの"Like!" ボタンを押した。
Old Spice's Twitter followers increased more than 1,000 percent. Nearly 600,000 people on Facebook gave its ads a thumbs-up "like it" vote. (businessinsider.com)

さらに、The Old Spice Manの一連のキャンペーン動画が3日間で1100万回以上も視聴されるという、申し分のない結果になったようです。
さてさて、このものすごい集中的なキャンペーン、いろいろと学べるものがあると思います。記事にもTipsが紹介されていますが、ここでは筆者の考えを以下に整理します。
1. シンプルさ:セレブリティを含むTwitter上のインフルエンサーにOld Spice Manが、動画を通じて返事・挨拶をする。基本的にはそれだけのシンプルなスキームです。スキームが複雑になるほどキャンペーンの運営は難しくなり、成果に結びつきづらくなるもの。製作される動画そのものも非常にシンプルにできています。
2. インパクトのある、すでに人気のある人物の採用:すでにテレビCMで一定の認知と人気を博している人物を起用することで、キャンペーンの受容度が高まっています。キャンペーンに巻き込まれるTiwtter上のインフルエンサーも、「まったく知らないキャラのたった人物」では絡みづらいというもの。
3. 相手の文脈に合わせてパーソナライズされたコンテンツ:先にご紹介したKevin氏へのツイート・動画コンテンツのように、相手の状態(この場合は病み上がりのIT界の著名人)にあわせて、作られています。
4. 絡むのが好きなインフルエンサーを巻き込む:バイラルに広げるための重要な部分。インフルエンサーを選ぶ際にも、その相手がTwitterで絡むのが好きかどうか、というのも大事な判断基準になります。
5. フィードバックの(リアルタイムな)反映:特に今回はリアルタイムの体制が組まれており、Alyssa Milano氏に対しては4回も受け答えの動画を作っています。このように、ソーシャルメディアからのフィードバックを反映し、対話を行っていたのが今回のキャンペーンの秀逸なところで、さらにバイラルに広がった要因だったと思います。
もし今の日本で同様なキャンペーンを行うとしたら、例えばどんな人を立ててやるのがいいんでしょうかね?嗜好は少し異なりますが、こども店長や白戸家のお父さんなどで実施できればヒットしそうですね。

eメールを捨て、ソーシャルメディアに完全移行したBen & Jerry's



米バーモント州に本社を置く、アイスクリームメーカで知られるBen & Jerry's社が、先週驚くべき発表をしました。
それは、e-Mailによるマーケティングを一切廃止し、ソーシャルメディアに消費者とのコミュニケーションを移行する、というものでした。
例えばFacebookの「Likeボタン」をメールの中に入れられるソーリューションの導入が予定されているように、e-Mailとソーシャルメディアマーケティングは、相性がよい補完関係にあると思うのですが、hubspotの記事によると、
Ben & Jerry'sは明らかにその逆のように感じていて、彼らの顧客はソーシャルメディアを通じてコンタクトされるほうが、e-Mailのインボックスからよりも好ましいと感じている。最後のeメールには、購読者に対してFacebookかTwitterを通じて繋がるように招待し、このアイスクリームブランドからメールを受け取るのはこれが最後になるだろう、と書かれていた。
However, Ben & Jerry's clearly feels otherwise and that their customers prefer contact through social media sites to email in their inbox. In their last email message, they invited their subscribers to connect with them via their Facebook or Twitter accounts, and this would be the last email they would receive from the famous ice cream brand.
Ben & Jerry's の顧客は、ブランドは好きだがメールは嫌いということを示していて、そうであるならメールを通じてではよい関係は築けない、という判断をしたようです。
確かにオンライン上の自分の居場所ともいえるソーシャルメディアの自分のページを通してメッセージが届けられるほうが、よりパーソナルに訪問をされている感じになり、受け入れやすい、ということはいえそうな気がします。
現在のBen & Jerry's のソーシャルメディアチャネルは、
Facebook:130万人以上のファン
Twitter:1万1千人以上のフォロアー(ほぼ全員と相互フォロー)
となっており、これだけあれば十分、ということなのでしょう。
また、ソーシャルメディアの方が顧客の声を直接聞くことが可能になり、さらにメールの配信費用やリストのメンテナンス費などのコスト削減にも繋がるとのこと。
今後このような動きをとる企業が増えていくのか、ちょっと注目したいですね。
ご参考
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...