2010年7月29日木曜日

ギネス世界記録にも認定された、XBOXのTwitterによるカスタマーサポート:電話の数を減らす戦略でROIにも配慮



「アクティブサポート」
Twitterの企業の使い方の理想形の一つとしてしばし語られるこの言葉。Twitterを通じて発せられるユーザーの悩みや不満を見つけ出して、積極的に解決策などをツイートして伝える、というカスタマーサポート(CS)的なもの。
日本では昨年末にダスキンが実施した期間限定の@DUSKIN_OSOUJIが、その事例のひとつですね。 
アメリカのマイクロソフトが展開する家庭用ゲーム機 XBOX のCSは、このアクティブサポートを年中無休のレベルで行っていて、Twitterで最も多く返事をしたことでギネス世界記録にも認定されたほど。
その運用方法について具体的に語られているエントリがあったのでかいつまんでご紹介。
一般的な企業と同様、電話やeメール、オンラインサポートや掲示板などのCS業務はXBOXチームでも行っていたが、XBOXユーザーのTwitter利用者の多さや、Twitter上で起きている関わりあいがコールセンターではほとんど見られないものであったことなどから、まずは傾聴を主目的にアカウントを開設。
そしてつぶやかれる内容に対して、
私たちは上空から突然舞い降りたかのように現れ、「何かお困りですか?」と始めたのです。すると、彼らは、ワーオ、どこからともなく積極的なCSが現れた、これはすごい、というような反応を示しました。これは本当に魔法のような体験で、私達の "through-the-roof "顧客満足(屋根を突き破る、という意味。社内の独自指標のようなもの?)を特に高める要因と考えられます。
“We swoop in, seemingly out of nowhere, and say, ‘No, we can help,’” Eakin says. “They’re like, ‘Whoa, proactive customer service out of nowhere. This is so cool.’ It’s a really magical experience and I think that in particular drives our through-the-roof customer satisfaction.”
と、ポジティブな驚きをもって迎えられた様子。その後、顧客満足度、問題解決度ともに高いということが認められ、晴れて本格的な運用をすることになったそうです。
ちなみに、TwitterのCSチームは"the Xbox Elite Tweet Fleet(日本語だと"XBOX つぶやき精鋭部隊")"と呼ばれ、上の発言をしているMcKenzie Eakin氏は、その"Sky Captain"という称号を与えられているようです(なんだか楽しそう)。
ではその the Xbox Elite Tweet Fleet による運用体制を見てみましょう。
・Tiwitter アカウント:@XboxSupport
・チーム体制:10名の専属スタッフ
・対応時間:週91時間
専属スタッフの多さもさることながら、対応時間の長さには目を見張るものがあります。これはユーザーがゲームをしている週末や夜も対応しているからです。Twitterというメディアだけでなく時間もユーザーとともに過ごすという徹底ぶりですね。
そしてエントリで紹介されていた運用方針がまた素晴らしい。
部隊はすべての @ に対して回答をする(ボットからのものや公序良俗に反しているもの以外)
the Tweet Fleet is absolutely required to respond to every @ unless it’s from a bot or particularly vulgar.”
サポートチームは、問題の発見と解決を、最もコストのかかるサポートサービスである電話をユーザーがかけてくる前に終わらせる。 
Notably, the Tweet Fleet helps find and troubleshoot issues before they become live calls, the most expensive mode of service.
各隊員は回答にイニシャルと挿入記号からなるタグをつける。例えば ^MB のように。
Each Fleet member tags replies with their initials and a caret, as in ^MB (Eakin’s tag).
14歳の子供の気持ちで
In the Mind of a 14-Year-Old
例えば電話がかかってくる前に問題の発見と解決がTiwtterでできてしまえば、電話サポートのコストを抑えられるだけではなく、その回答がReTweetされ、第2、第3の問い合わせを発生させずにすむ、という効果も期待できます。
回答者のイニシアルをタグで分けることは、ユーザーとのパーソナルな対応と深く関係していますし、14歳の子供の気持ちでというのは、自分が14歳なら問題が起きた時にどうツイートで表現するかという傾聴する際の心構えでもあり、同時に回答する際にどういう言葉で回答すべきか、という2つの側面があると思います。
また、フォロアー数を増やすためのTwitter懸賞を行ったり、偽アカウントによる妨害行為があるような場合は、自分たちはそのアカウントをブロックしたことをフォロアーに伝える、というようなことも定期的に行っているようです。
減らした電話の数を考えれば、最終的なコストはROIの観点から埋め合わせができていると思います。(Erin氏)
Given the number of calls we do prevent, we have run about net neutral from a return on investment perspective.
Twitterによるアクティブサポート、現時点では多くの企業にとって「追加コスト」ということになると思いますが(特にここまで徹底したものは)、XBOXユーザーのようにTwitter利用率が高く、ユーザー同士のRT等による自主的なサポートが期待できるようなら、全体的なCSコストの低減につながるのかもしれませんね。

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