日本語で翻訳するのがとても難しいEngagementという言葉。もともと哲学者サルトルの用語でフランス語。筆者は「関わり合いを深めること」という趣旨の翻訳するようにしています。
調査のテーマは顧客の視点から見たCRM。なので、ソーシャルCRMの話、とおもって読んだほうがいいかもです。
さて、調査で明らかにされたのは顧客にとって企業とのEngagementで重要な構成要素と、Engagementにおける各マーケティングチャネルの有用性。
まず、Engagementの構成要素から。
6つのEngagement構成要素(上図)VALUED(顧客が企業から大切にされていること)
EFFICIENCY(企業が顧客の時間や労力を尊重し早期解決すること)
TRUST(企業を信頼できること)CONSISTENCY(企業の対応などに一貫性があること)
RELEVANCE(顧客のニーズに即していること)CONTROL(Opt outのように企業との対話を顧客が制御できること)
これまで漠然と捉えていた"Engagement"もこうして要素に分けてみると、なるほどね、という感じがしますし、具体的にどのようなアクションを起こせばいいかの参考になります。
さて、これら6つの要素についてさらに興味深いことが調査からわかったそうで、それが以下の2点。
1. 顧客にとって重要なEngagementの要素はValued、Efficiency、Trustの順に重要で、Consistency、Relevance、がそれに続き、Controlは最も順位が低かった。2. 性別、年齢、好みのチャネルなど、どのような角度で調査対象を切った場合にもこの優先順序は変わらなかった。
なんだか、2006年にTimeが「今年の人」を「You」にしたときに書いてあった言葉が"Yes, you.You control the Information Age. Welcom to your world"であったことを考えると、ちょっと意外な結果ですが、Trustが先にあればControlについては重要度が下がるということなのかもしれません。
さて、調査が次に明らかにしたことは、Engagementにおける、マーケィングチャネルの重要性です。
このグラフから分かるのは、年齢にかかわらず(25-34歳、35-44歳、45歳以上)、顧客が企業とのEngageする場合はeメールなどの重要度、使用頻度が高く、Facebook、Twitterなどのソーシャルネットワークはあまり期待されていないということ。
そして各チャネルとEngagement要素との関連性を調べたのが下の表。
このチャートから見えてくることは、
・郵便や紙面広告、携帯のアプリやリアルタイムのチャットなどはパフォーマンスが低い。・個人宛のeメールや企業公式サイト、面と向かっての対話や伝統的な口コミは高いパフォーマンスを示した。・Twitterやメールのニュースレター、企業のコミュニティサイト、Facebookやレビューサイトはその中間。
ということ。
最初のグラフで重要度、使用頻度の低いとされたソーシャルメディアが下の表ではパフォーマンスが中間、ということは何を示しているのでしょうか?
筆者としては期待も込めて「使い方次第」という風に考えたいところです。
EngagementにおいてValuedが重要なのであれば、それをソーシャルメディアを通じて提供するという運用をすればいいはずですが、実際にはそういう運用があまりされていないということだ思います。
例えば、Twitterで自社のサービスに対してネガティブなことが述べられれば「どうしましたか?」と伺い、具体的な解決策を示す。あるいはフォロアー限定で先行予約ができる、などをすることで、Valuedの要素を高めることができると思います。
空港でつぶやかれた顧客が直面している問題可決をTwitter経由で行うJet Blueや、CSとしてTwitterを利用しているXBOXの場合、ソーシャルメディアにおけるValuedやEfficiencyを高め、Engagement向上に貢献できていると考えられます。
それだけのことをソーシャルメディア経由で行えば、Engagementが深まるかもしれませんが、その分、人と予算が必要、という先日のエントリとつながってきますね。
要はどこまでコミットできるか、なのでしょうね。
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