2010年6月16日水曜日

炎上したら検索を買うな?:原油流出で揺れるBPのリスティング広告が非難される理由



流出した原油の回収や賠償で約1500億円を負担し、時価総額が17兆円から9兆円まで落ち込んだ(16日付日経新聞)、石油のメジャー企業BP(British Petroleum)が、"Oil Spill"などのキーワードに対してGoogleなどでの検索結果に連動したリスティング広告を購入し、それが非難を浴びているそうです
上の画像は、"Oil Spill"での検索結果。
この手法は、以前のエントリ、「炎上」したら検索を買え。「対話」型のテキスト広告:クックパッドの新テレビ番組と過去の爪痕でもご紹介していますが、炎上が誤解によって生じている場合、正しい理解を促すために、リスティング広告を通じて公式HPに誘導し、説明するというもの。
先日のエントリでは、「キッコーマンの醤油は純植物性ではない?」という誤認がきっかけで起きた炎上に対し、
"Soybeans, wheat, salt, water. Nothing else added."(大豆、小麦、塩、水、以上。)
というテキストのリスティング広告と、詳しい説明をした公式HPへの誘導を行っていました。
Googleという「世界最大のメディア」の影響力は大きく、情報が伝わるのも早いため、そのカウンターアクションをアドセンスなどで行う、しかも消費者との「対話」として検索連動型広告を活用するのは、危機対応として新しく、正しいやり方だと思いました。
今回のBPも原理としては同じで、
目的は流出の影響を最も受けている人達に正しい情報を提供すること
goal is to provide accurate information to help the people most affected by the spill.(blog.hubspot.com)
とのこと。
ではキッコーマンの時と今回とで何が違うのか?
今回、非難が起きた背景には、
BPが、原油流出によってネガティブな注目を集めていることへの対抗策として巨額の資金を投じていることに、オバマ大統領が不満を表明していることが、非難を呼ぶきっかけになっている。
The criticism comes as President Obama expressed unease at the amount of money the company was spending to counter the negative attention the company has received following the oil spill.(foxnews.com)
ということもあるようです。このテレビCMなどもそのひとつでしょう。
レギュレーションとしては、BPがイメージ向上施策のためにリスティング広告を行うことは全く問題ではなく、倫理に反することではないと思いますが、世論としては「今はその時ではない」ということでしょう。
ポイントは、会社のブランドのことは忘れろ、ということです。それは文字通り空っぽであり、あなたはそれを所有していない。あなたはあらゆる時間と金をつかって、世論を生み出そうとすることはできるが、それは最後は世間が決めることであり、今はそのときではないのでは??(streetgiant.com
このあたりは空気を読む、というか助言ができる第3者の存在が望まれるところ。
コミュニケーションでは
情報
感情
この2つが常にセットです。
論理的に考えると同時に、道義やオーディエンスの心理などを併せて考えていく必要がありますね。 
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