2012年1月30日月曜日

ソーシャルメディアはプライバシーにも信頼性にも貢献するかも?というGoogleの調査




via flickr by Sean MacEntee

FacebookのIPOは早くて水曜日とWall Street Journalが報道した数日前、Googleがプライバシーポリシーと利用規約を更新しました。この更新によってGoogleは各サービスから取得するユーザー関連の情報がて統合され、ターゲティングを強化することができるようになる、と言われています。一方で、

Googleは今回の改訂がユーザー体験の向上につながると主張しているが、プライバシー擁護者などは、異なるさまざまなWebサイトで自身の情報を共有する習慣のないユーザーを裏切る行為だと批判している。

という声も同時に起こっているようです。

すでにGoogleの検索結果には、Google + の繋がりのデータが併せて表示されるようになっていて、さらにAndroidを含むGoogleの各サービスからのデータが統合的に集められ、検索結果や広告に反映されるとしたら、

それは事実上、ユーザーと世界で最も人気のある検索エンジンとの関係を書きかえることになる (wsj.com)

といっても過言ではないのかもしれません。

そんな批判の発生を見越して、ということではないでしょうが、"Vanity or Privacy? Social Media as a Facilitator of Privacy and Trust"というGoogleによる調査が公開されていました。ここでいうVanityとは日本でもエゴサーチとして知られているものをさしており、意訳すると「エゴかプライバシーか?プライバシーと信頼とを促進する存在としてのソーシャルメディア」という感じでしょうか。

さて、そのリサーチで語られていることの一つ目が、「Vanity検索(エゴサーチ)はプライバシーにも役立つ」、というもの。

ソーシャルメディアは、ソーシャルネットワーキングのプロファイルや投稿によってより豊富な検索結果をもたらし、個人のブログ、ウェブページ、トランザクションのパブリックレコードと同様にアピール力のあるものとなり得ます。

実際、調査対象(n=200人、24-25歳男女)の約半数がエゴサーチをしたことがあり、オンライン上の評価に高い関心があるという結果になったそうです(もしくはその逆でエゴサーチをしない人はオンラインでの評価に関心がない)。

プライバシーに役立つ、というよりも良くいわれるセルフブランディングに役立つ、といったほうが、しっくりくる調査結果ではありますが、明確に2分されるのは面白いですね。

また、調査の中で語られていたもうひとつのことは、「ソーシャル検索の表示は情報の信頼性を増す」というもの。

下の表は、ある情報に「ニュースサイトの人気記事」あるいは「Facebookで数多くLikeされた記事」という情報が付加された時とされない場合とで関心がどのように変わるかを調べたもの(n=615)。

記事やトピックへの関心、ブックマークや共有への関心が、両方の場合で高まっていることが分かり、共有への関心はわずかながらFacebookで数多くlikeされている、という条件が示された場合のほうが高くなっています。

これも、信頼性というよりは関心が高まる、というレベルの事かな、という感じがしますが、ソーシャルメディアでの評価が一般ニュースサイトでの閲覧量に匹敵しうる付加価値をもたらす、ということを示しています。

いずれの結果もこの調査の結論で、

ソーシャルメディアの有用性(評価の監視と情報への信頼獲得)は、プライバシーの問題を上回る利点 
と書かれているほどではないにしても、

最も重要なチャレンジは、こうしたプライバシーがもたらす利点を、プライバシーの他の問題点に妥協することなく実現することです。

というのは確かにその通りですね。

要するに自分でコントロールできているのかどうかにつきると、個人的には思いますが。

さて、最後に昨年6月に行われたD9(All Things Digitalのカンファレンス)でGoogleのエリック・シュミット会長が登壇した際に語った言葉を引用したいと思います。

Googleは、ユーザーが匿名で検索ができる場の提供を続けます。私たちが獲得する個人情報に関してユーザーがコントロールができるように深くコミットしています。例えば、Googleにログインせず、自分が誰かということを私たちに教えないままユーザーがGoogleを使いたいと思うとします。これは今後も変わらずに提供します。























2012年1月24日火曜日

Facebookは情報の反響室ではない:弱い絆が新しい情報を広げている、というFacebook自身による調査




via  facebook.com 
FacebookのようなSNSではどのように情報が広がるのか、という問いに対してFacebook自身による、調査結果が公開されていました。
SNSは、嗜好の近い、親しい友達からの情報だけを消費し共有する反響室のようなもので、多様な情報の広がりが起きにくい、という人もいますが、我々の調査はそれとは異なる様相を描き出すこととなりました。実は情報の大部分は、頻繁にやり取りがあるわけではない知り合いから来ていたのです。
それを示しているのが上の図ですが、じつはこの概念自体は経済社会学者のMark Granovetter氏よって1973年に発表された論文"The Strength of Weak Ties"に提示されていたものと同じで、その内容は
人々が自分の親しい知り合いよりも、普段やり取りがあまりない知り合い経由で知った新しい仕事に就くことが多くみられます。強い絆のクラスタの中にいる人々はお互いをよく知り、情報は瞬くまに広がります。一方、強い結びつきがあるソーシャルな輪はソーシャルネットワーク全体に比べると小さなものであり、仕事の情報においては、新しい機会を見つけることが非常に難しいと言えます。弱い絆は、強い絆のクラスター間のギャップを埋め、新しい情報を広げるのに役立っているのです。
というもの。
違う言葉で置き換えると、親しい友人とは似通った話題について話すことが多いが、新しい情報はちょっと距離のある友人からもたらされる、ということです。当たり前と言えば当たり前ですが。
ネット上のニュースのようなものの場合はまさにそのことがあてはまるはずです。それを示しているのが下の2つのグラフです。

このグラフは、つながりの強さと、情報共有の起こりやすさを示したもので、Facebookのニュースフィードに現れた、親しい友人からの情報が最も共有されていることが分かります。(ここでのつながりの強さは、友人から受けるコメントの数から算出されているとのこと。)

一方もうひとつのグラフは、ニュースフィード上の情報が何回共有されるかが、友人との繋がりの強さによってどう変化するかを示したもの。

これを見ると、繋がりの弱い人の情報の方が数多く共有されていることが分かります(ちょっとややこしいですが、これは繋がりの弱い人の数が多いため、合計としてこうなるという意味だと思います)。

強い絆経由の情報:馴染みのある、日常的に興味のある情報。(影響力のある)繋がりの強い友人経由なので共有が起こりやすい。

弱い絆経由の情報:興味範囲の中心ではない新鮮な情報。繋がりの弱い友人経由なので、共有は起こりにくいが、母数が多いので結果的に数多く共有される。

という整理をすると分かりやすくなり、至極納得のいく内容と言えます。FacebookをはじめとするSNSによって、これまでは出会えなかった多様な情報に、普段接しない人を経由して出合えるようになったということは、私たちも経験上知っていることですね。

リサーチ結果の紹介でも以下のように書かれています。

例えば、100の弱い絆の繋がりがあり、10の強い絆の友人がいるとします。あなたが繋がりの強い友人のものをシェアする可能性はとても高く、例えばそれが50%だとします。一方弱い絆の友人のものは興味がない情報の傾向があるので、共有する可能性を15%ぐらいとしましょう。その場合、弱い絆と強い絆を経由して共有される情報の総量はそれぞれ、100 x 0.15 = 15 プラス 10 x 0.50 = 5 となり、弱い絆経由の方がより多く共有されていることになります。

普段日常的に顔を合わせる、話をする(強い)繋がりからでは得られない情報が、薄く広く繋がっている弱い絆を経由してもたらされる。それがSNSが強化した情報伝達のあり方といえるのでしょう

ソーシャルメディアを利用する個人にとって、弱い絆の繋がりを増やすことは新しい情報に出合える機会となり、ソーシャルメディアでマーケティングを行う企業にとっては、弱い絆の繋がりを通じて情報の広がりが期待できる。悪くない話ですよね?











2012年1月16日月曜日

人気が高まるちょっと小ぶりなソーシャルネットワーク:comScoreの調査より




昨年末に公開されていた、comScoreのレポート"It’s a Social World: Top 10 Need-to-Knows about Social Networking and Where It’s Headed"によると、昨年の傾向としてTumblrやPinterest(画像に特化したソーシャルブックマークサービス)のような小ぶりのソーシャルサイトの勢いが目立っていた、とこのこと。

Tumblrはユニークビジター数で、172%成長(2011年10月の前年同月比)
それを上回ったのは中国版のTwitterの"Sina Weibo"で181%
Twitter自体は59%の成長

Fastest Growing Top Tier* Social Networks Worldwide, by Audience Size, Oct 2010-Oct 2011 (% change)

そして訪問時間で目を見張るのがTumblrと、Pinterestで、

2011年10月には同年5月に比べてPinterestは521%成長の72.1分
Tumblrは81.6分で41%成長(2011年10月の前年同月比)
ただしFacebookの378.7分には(40%増)にはいずれも遠く及ばない

Social Networks Worldwide with Highest Growth in Time Spent, Oct 2011 (minutes and % change vs. Oct 2010)

このブログでもご紹介したことがありますが、PinterestTumblrともにビジュアル訴求が強力なサービスで、ついつい時間を使っているという状態になりやすのではないでしょうか?特にPinterestについては、Pinterestのアーリーアダプターは、よくあるテック系の人々ではないという特徴にもそのことが表れていますし、一番上のチャートに見られるようにユニークビジターが他のサービスに比べて少ない(7位)にもかかわらず、訪問時間は3位になっています(2011年11月)。

さて、そのPinterestですが、注目の新サービスということもあり、Mashableで、「Pinterestで目立つための13のTips」というエントリが公開されていました。

エキスパートになること(特定分野の画像を中心にPinする)
Chromeのブラウザエクステンションを使うこと
既存のソーシャルアカウントとの連携
コントリビューター設定(自分以外も投稿可能にする)
モバイルの活用

などなど色々あるようなので、気になる方はチェックしてみてください。











2012年1月10日火曜日

大手グローバル企業が持つソーシャルメディアのアカウント数は、なんと平均178:Altimeter社の調査レポート




「増殖するソーシャルメディアを管理するための戦略」と題されたAltimeter社の調査レポートが公開されていました。そのレポートによると、

1000名以上の社員がいる140のグローバル企業が持つソーシャルメディアのアカウント数は平均178

になったそうです。

178!!です。

178もあるアカウントでの活動が上手くいっているか、については、

70%の企業がソーシャルメディアでの活動がビジネスの目的を達成しいていると回答している一方、ビジネスゴールを達成するための明確なソーシャルメディア戦略を持っていると回答したのは平均43%

とのことでした。

ということは、27%の企業が「なんとなく」上手くいっている、と認識している、ということになるんでしょうかね。

また、増殖するソーシャルメディアでの活動に対して、企業全体のソーシャルメディアアカウントを把握するための管理を持っているのは平均49%にとどまっているようです。

増殖するソーシャルメディア上のアカウントの管理は、今後多くの企業にとって課題になっていきそうですね。

同レポートでは複数のソーシャルメディアアカウントを管理するツールを"A Social Media Management System (SMMS)"と称し、その評価を行っています。興味のある方は、slideshareでご覧下さい。