2010年9月27日月曜日

Grouponを利用して失敗した、と主張するちょっと話題になった小さな事例



筆者はこれまでいわゆるGroupon系のフラッシュマーケティングといわれる分野にはあまり興味がありませんでした。というのも単に自分が所属する組織ではその仕組みがワークしそうにないからです。

ただ、わずか数ヶ月の間で、レッドオーシャン化した市場であり、また、この不況の世相を反映して、「安く買える!」、「ツイッター活用」などがキーワードになって情報番組などのマスメディアで取り上げられるのを目の当たりにして、PRパーソンとしても、気にかけないままというのもよろしくないのかなと思い始めたところ、Grouponを利用して失敗した、というエントリが先週ちょっと話題になっていました。しかもエントリには88ものコメントがついています。

あくまでもアメリカでの一事例で、もうすこし数字の部分でクリアな情報が欲しい内容ですが、色々と気になる部分もあったので抜粋しながらご紹介。

エントリの筆者Jessie氏は、Posies cafeの経営者。多くのすばらしい企業がGrouponを有効活用しているのを知って、営業マンとの商談を開始。商談は$13の商品を6$で売ることから始まったのですが、営業マンのJohn氏が言うには、その理由は、

50%以上の値引きに、人々はよく反応するから

because John told me people really respond to deals that are over 50% discount.

とのこと。その後、売り上げの配分率について話したところ、

消費者の消支払いが$10に満たない場合、通常Grouponが売り上げの100%を受け取る。

John told me that when the consumer pays less than $10, Groupon usually takes 100% of the money.

と聞かされたそうです。

John氏曰く、ほとんどの消費者は$13以上購入するし、彼らのネットワークを活用すれば二度と広告をする必要が無くなる、との営業トークを行ったようです。

その話自体は疑わしいと思いつつも、最低でも50%は確保するべきと考えたJessie氏。その理由は、

今日までなぜ50%が良い条件だと思ったのかわかりませんでした。多分、食品コストをカバーできるからと考えたからです。

to this date I don’t know why I thought even 50% would be a good deal for us. Maybe because I thought since we were covering our food costs.

とのころですが一方、人件費や、賃料、公共料金などのコストを含めて考えていなかった、事前のROIの分析が甘かったと本人は反省しているようです。

実施後、売れたクーポンは約1000枚。結果にハッピーだったかというとそうでもないようで、まず、

売る数の上限を決めて損失を抑え、ビジネスを守ることができなかったのか、というと答えは単純で、「ノー」。Grouponに登録するときに、売れた分だけ販売することに合意することになっているのです。なぜかといえば、Grouponは売り上げの半分を得ることができるからです。

if there was a cap on how many were sold to help protect the business from too much loss, and the simple answer is, no. When you sign up for Groupon, you are agreeing to sell as many as get sold… and why would Groupon want it any other way? They get half of the earnings.

と売りたい以上に売れてしまった模様。

さらに、悲劇的な心情が文面に表れているのがここ。

Grouponが有効だった6ヶ月以上もの間、多くの本当に多くの素敵なお客様にあうことができ、Posiesファミリーに迎えることができて、とても幸せでした。同時に、多くの、本当に多くのひどいGroupon客もいらっしゃいました。

Over the six months that the Groupon is valid, we met many, many wonderful new customers, and were so happy to have them join the Posies family. At the same time we met many, many terrible Groupon customers…

どうひどいかというと、Grouponのルールを守らず、一回の食事で何枚ものグルーポンを使おうとしたり、そのことについて嫌悪感をあらわに議論をしたり、実際に払った分の10%でチップを払おうとしたりする客(支払い0ドルの場合、10セント払うのはとても太っ腹)がいたそうです。

最終的に$8,000の損失となり、キャッシュフローを維持するために、個人の貯金から支払いをする羽目になった、ということでした。普段から広告のROIをあまり信用していないJessie氏としては、損失を宣伝のための投資として割り切ることもできなかったようです。

さて、グルーポン自身の調査によると、同社のクーポン利用後に再び同じ店を訪れる客は22%というデータがあるようですが、実際に結果に満足しているビジネス側はどの程度なのでしょうか?

個人的に記事やテレビを見た限りでは、「リーチできなかったお客さんに知ってもらえる」、「再来店してもらえる」、「出品内容以上に購入してもらえる」というのが経営判断としてフラッシュマーケティング実施に踏み切る大きな理由のようです。

ここで、PRをやってきた人間として頭をよぎるのが、10数年前に起きた「懸賞ブーム」。企業は自社製品を広く知ってもらう、ファンになってもらう、などの目的でプレゼントパブリシティを展開し、懸賞雑誌が生まれ、電波少年的懸賞生活なる企画がテレビでオンエアされていたほど。

その流れは提供された商品のレビューやブロガー試食会などを行うブロガーリレーションに引き継がれ、今度はバーゲンハンターが集まるフラッシュマーケティングに、、、と思ってしまうのは筆者だけではないのでしょうか?

出品内容や目的によって結果のリターンは異なると思いますが、良い結果、悪い結果ともに実際やってみてどうたったのかの開示が日本でも今後なされていくことを期待したいところですね。
























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