2010年5月18日火曜日

Facebookのプライバシーポリシーについて理解しておきたいこと:米国で退会者が続出している理由

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アメリカ合衆国憲法よりも長いと言われる、Facebookのプライバシーポリシー。そのプライバシー設定は、基本的に選択式のオプトアウト方式で、シンプルとは言えないものです。

最大限の情報開示状態からオプトアウトするためには、50以上のプライバシーボタンをクリックし、170以上ものオプションから選択しなければならない。
To opt out of full disclosure of most information, it is necessary to click through more than 50 privacy buttons, which then require choosing among a total of more than 170 options.(nytimes.com)

その様子を示しているのが上の図です。

4億以上のユーザーを要する巨大国家ともいえるFacebook。そのたび重なるプライバシーポリシーの変更や、詳細かつ複雑な設定に退会者も増えているそうです。実際、Googleで今最も急上昇中の検索が、"How Do I Delete My Facebook Account?(アカウントの削除の方法は?)"だそうです

アカウントの消去は、Facebookの「アカウント設定」にある「アカウントの利用停止」を押していけばいいのかなと思うのですが、「アカウントの利用停止」は「アカウントの消去」ではないため、Googleでその方法が検索されているようです。ちなみに、「アカウントの利用停止」を押した場合は、携帯電話の有料サイトの退会防止施策を思わせる、「友達と連絡を取れなくなります。」というメッセージが友人の写真ともに現れます。

ただ、日本の携帯サイトの退会と異なるのが、これ。

 

チェックしてオプトアウトしない限り、Facebook上の友人とのつながりは残り、連絡をもらえばまたアカウントを使いたくなることでしょう(アカウントは残ったままなので)。
  
退会者を増やすきっかけとして、決定的だったのが最近ローンチされた、オープングラフへの取り組みとそれに連動するInstant Personalization機能のようですInstant Personalization機能はユーザーの情報を選ばれたサードパーティのサイトと自動的に共有するもので、現在Yelp、Pandora、MicrosoftのDocs.comの3つのサイトで限定的に展開されています。これによって例えば訪問者の興味にあった広告などを出す、ということもできるでしょう。

ですが、そのパートナーサイトにセキュリティホールがあり、攻撃にさらされたとしたらどうでしょう(ご参考:またYelpにセキュリティホール, Facebookのデータがまたまた危険にさらされる)?またそれがオプトアウトでの選択肢に変更されるとしたら。

ユーザーのきめ細かな情報や、ソーシャルグラフを活用して情報を整理することは、新たな広告のあり方を予感させるものであり、サイト訪問者数ニュースコンテンツへのトラフィックソースとしてGoogleをも脅かす存在となったFacebookのマネタイズの重要施策と考えられます(ご参考:FacebookのCOOが提唱する今起きている4つの「シフト」:新しい"Push"へ)。

ただし、Facebookの売り上げのために、ユーザーのプライバシー情報が危険にさらされる可能性があるとしたらどうでしょう?

そこに疑問を感じた人が退会しているのだと思います。

様々な記事や在米マーケターの@hisamiohさんの話などを聞く限りでは、この動きは、今回のことに限った話ではないようです。

ユーザが安心できる環境を明解にしてユーザに伝える態度が欠けています (@hisamioh)

Facebookが、最も重要なユーザーのプライバシー情報を扱っているにふさわしい配慮や安心感を与える努力が足りないと感じている人が多い様子。

そもそもプライバシー情報は信用できない人には教えたくないというのが普通ですからね。

こんなコメントもありました。

私たちはFacebookの顧客ではなく、その製品なのだ、と理解した。
I’ve realized we’re not Facebook’s customers: We’re its product.
FB(Facebook)は徐々に熱くなる水。ユーザーはカエル
FB=Slowly boiling pot of water. Users=Frog.(mediaemerging.com)

特にアメリカでは生活インフラとなっており、今さら辞めると不便、という人も多いFacebook。Googleをも凌駕する力を得たFacebook。そして、その利便性や拡張性ゆえこれから日本でも普及が進む可能性のあるFacebook。

カスタマイズで「自分のみ」に公開という設定をしても、実際には存在しないFacebookプライバシー、という情報もあります。

Webに出したものは世界中に公開される情報と理解し、ユーザー自身がどこまで情報をFacebook上に出すか、ということを管理して上手に付き合っていかなくては、ですね。

<少なくともこれだけは確認>
1. 「プライバシー設定」のページから「プロフィールをプレビュー」で自分の情報がどのように公開されているか確認。イメージと違っていれば再設定。
2. 「プライバシー設定」の「連絡先情報」で公開範囲をしっかりと設定
3. 写真アルバムを公開する時は、どこまで公開するかをアルバムごとに確認
4. 「プライバシー設定」の「検索」で、「Facebook上の検索結果」「公開検索結果」をしっかり設定
5. 「マイアカウント」の「Facebook広告で」、自分に関する情報開示範囲を設定
6. 常ににプライバシーポリシーが変わると思って、情報には敏感になっておく

ご参考

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