2012年5月28日月曜日

ソーシャル化が進むCEOのデータ解析能力が、業績の優劣を左右しているかも?という調査:IBMのグローバルCEO調査




IBMが64ヶ国、18種の業種のCEO 1709名を対象にした調査"IBM 2012 Global CEO Study"(インタビュー形式で実施)の結果がなかなか興味深いものでした。

その調査によると、

顧客と交流するチャネルの順位は現在、対面、ウェブサイト、チャネルパートナー、コールセンター、伝統的メディア、諮問機関、最後にソーシャルメディアの順だが、現在16%のソーシャルメディアを活用しているCEOの割合が、57%となり、3年から5年以内でソーシャルメディアは2位になる、とのこと。

また、

CEOはソーシャルな仕事環境を今後増やしていくる予定で、優良企業は既に実践している。売上と成長が上位20%の企業の48%のCEOが、組織のオープン性を推進し、従業員の自由なコラボレーションを生みだせるようにしている。(via adweek.com

という結果も得られたそうです。

この傾向は、

全ては、顧客、従業員、ビジネスパートナーとの関わりのオープン化への流れの一部であり、こうした全ての人々とエンゲージすることは、組織をより広く定義する、組織の再定義である。(IBM global business servicesのSaul Berman氏)

と結論付けられています。

様々なリスクはありながらも、コントロールからオープン・コラボレーションへ、よりパーソナライズされた関わりあい方へという流れが今後より強まって行くのでしょう。

また、この調査結果で非常に面白いなぁ、と思ったのがこちら。

データにアクセスし、そのデータの意味を読み取ることができる、と回答
・好業績を上げたCEOの54%
・業績不振だったCEOの26%
データから読み取った意味を具体的な行動に移せる、と回答
・好業績を上げたCEOの57%
・業績不振だったCEOの31%

もちろん様々な理由によって業績は左右されますが、データ解析やテクノロジーの理解がCEOのパフォーマンスに影響を与えていることが伺えるといっても良さそうですね。

ご参考

2012年5月21日月曜日

グローバル企業のFacebookページでエンゲージメントが高いのは自動車業界とアルコール業界:事業別の分析レポートより




ちょっと以前公開されたデータですが、ソーシャルメディアの分析ツールを提供しているSocialbakersが、Facebook上の業界別Facebookペー
ジのグローバル調査を公開していました。

それによると、自動車業界と、アルコール業界が、最もエンゲージメント率が高い、という結果になったそうです。

また、ファン数が最も多い、消費財(FMCG)はエンゲージメント率の面ではさほど高くないことが分かります。



自動車業界は、最もFacebook上でのエンゲージメントが高く(0.207%)、四半期で最大62%ものファン数の増加があったそうですが、その理由として、

アピールするビジュアル作り、地域のコミュニティに密着したエンゲージメント、効果的な投稿戦略がFacebookでの成功に寄与している。

とのこと。

確かにBMWとその他カーメーカーの投稿には大きく差があり、特にアルバムの活用が奏功していることがうかがえます。


また、ファッション、ビューティー、通信、eコマース、メディア、航空業界など、10種の業界別分析レポートも公開されていましたので、以下に。

同じ業界のデータなど、参考になるかもしれないですね。


ご参考












2012年5月14日月曜日

Facebook外部の広告でもユーザーデータの活用が開始:Facebookがポリシーの変更を発表




Facebookが今月18日に行うといわれているIPOを前に、「データの使用に関するポリシー(旧称:プライバシーポリシー)」の改定実施を発表(日本語)しました。

変更点をまとめた説明資料も既に日本語で公開されています。

その中に、「広告とスポンサー記事のしくみ」というセクションがあるのですが、今回の更新によって、Facebookのユーザーデータが、Facebookの外の広告にも使われるようになることが書かれています。

また、広告をFacebook外で表示する可能性についての既存の情報を明確にして、広告を表示する場合にはソーシャルコンテキスト(友達が特定のビジネスで「いいね!」と言ったかなど)が含まれる場合と含まれない場合があることを説明しています。

具体的にどういうことが起こるかのもう少し詳しい内容が、CNETにFacebookの公式見解としてが記載されていました。

私たちは将来、Facebookの外の広告に対しても役に立つようになるでしょう。それら(Facebook外の広告)は、通常の広告であるか、もしくは「あなたの友人のジョンがある製品にいいねと言っています」というものになるかもしれない。

ただし、ユーザーから集めたデータを広告主に実際に共有するということではなく、Googleのように、広告主の求める基準に合ったユーザーに、広告表示の指示を行うもので、広告主が直接個人情報を取得できるのは、ユーザーが承認した時に限られる、とのことです。

通常の広告と、ソーシャルな情報が含まれた広告とでは、 ソーシャルな広告のほうが効率が良いというデータもあり、今度は、Facebookの外でもFacebookの「いいね!」を活かした広告を見ることになるのでしょう。

FacebookはIPOに向け、モバイルの強化(InstagramやTagtile、Glanceeの買収)、Facebookクーポンアプリストアの導入などを矢継ぎ早に発表してきましたが、今回のポリシー変更は、Googleの収益源にさらに食い込んでいくぞ、ということでもあるのでしょうね。

※日本時間15日1時から、この件についてのQAを受け付けるストリーミングが行われる予定です。










2012年5月7日月曜日

"earned media"と"paid media"を融合させるthe New York Timesの新商品"Ricochet"





ちょっと前の話ですが、the New York TimesのR&D部門が、実験的な広告メニュー"Ricochet(飛ぶ、跳ねるなどの意味)"を公開しました。

どのような広告かというと、

例えばLollipop Incがこれに契約すると、Lollipop社に関する10の記事(およびブランド戦略に合うそれ以外の記事)を、the New York Timesから選べ、それぞれの記事には固有のURLが発行される。そこにはLollipop社の広告が表示されている、という具合になるだろう。(via paidcontent.org)

とのこと。

別の言い方をすると、メディアによる(取材)記事="earned media"と、広告="paid media"を融合させた商品、といえそうです。

実際にSAPなどが利用を開始していて、こちらをみるとその様子が分かります(上の画像はそのスクリーンショット)。

この記事は、SAPそのもののに関するものではなく、Big dataの解説記事で、その上と横にSAPの"RUN Like never before"キャンペーンサイトへの広告が表示されている、という組み合わせ。

当然ながら、Twitterなどを使って(固有のURLが付された)記事をプロモーションしています。


色々なケースがあるでしょうが、このSAPのケースように、自社について直接的に言及されている記事と広告を組み合わせるよりも、自社に関連する傾向記事や調査レポートなどに広告を組み合わせるほうが、押しつけがましくなく、素直な興味・感心に基づくクリックがより多く生まれそう。

ところでthe New York Timesがこうした実験的な取り組みをするのは、初めてではなく3年ほど前にこれに似た"Sponsored Archive"というソリューションを提供していました。

その当時書いたブログを以下に抜粋。

IBM1.png

アーカイブをいかに活用しマネタイズするか、という動きが積極的になりはじめたのは、割と最近のことだと思うのですが、実際にジャーナリストによって書かれた記事が広告のコンテンツとして活用されはじめる、という動きがアメリカで始まっているようです。
画像は、the New York TimesのWeb上で展開されている、"Sponsored Archive"というもので、IBMの"Thinking about energy."というCSR/ブランディングを目的としたキャンペーンのようです。
注目すべきは、下の画像にあるようにそこで表示されるものが実際にジャーナリストによって書かれた(過去の)記事ある、ということです。

このケースの場合、IBMのCSR/ブランディング広告のコンテンツとして、過去記事を利用するという組み合わせで、いわば記事広告の中身に実際の記事を使ったようなもので、理解促進に貢献しそう。

それに対して今回のRickchetの場合は、自社に対する記載がない傾向記事等も広告出稿の対象にできるので、より汎用性が高く、デマンドジェネレーションにも繋がりやすい、という感じです。

いわゆるトリプルメディアの組み合わせ方の提案が、メディア側からも色々と出てくるといいですね。