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先月サービスを開始したFacebookの新機能「Facebook Deals」。
米国の5都市からサービスインし、徐々に展開していくというこの新サービス、いわゆるグルーポンサービスのFacebook版、という言い方が最も分かりやすいようですが、
Dealsは、米Grouponなどのクーポン購入サービスと同様に、ユーザーによる地域ビジネスのクーポン購入を仲介するものだが、Facebookは「ディスカウントよりも、Dealsを通じてユーザーが友達と興味深い体験をすることが重要」という。 (itmedia.co.jp)
とのコメントを見る限り、単に「安く共同購入しよう」、 ということよりも、ソーシャルグラフを意識した展開を想定していることが伺えます。
その象徴とも言える機能がこちら。
Groupon等の場合、「知らない誰かと一緒に安く買う」というのが基本的な体験となりますが、Dealsの場合、"buy for:"というメニューがあり、知り合いの誰かのために買う事ができます。
以前「映画"Toy Story 3"の劇場鑑賞券がFacebook上で販売開始:ソーシャルグラフを活かせる理由とその販売手法」というエントリで、Facebook上で映画のチケットを買う事ができ、さらに
「友人を誘う」という機能があり、まさにソーシャルグラフを活かした販売方法になっています。
という事例を紹介しましたが、Dealsはディスカウントだけでなく、このソーシャルグラフを活かした購入体験をFacebookがオフィシャルに提供するものと言うこともできます。
さて、2006年に、博報堂がこんな調査を行っていました。
子ども一人がもつ平均ポケット数は、 シックスポケットより一つ多い7ポケット。(pdf)
これは、「少子高齢化の進む中、これまでは両親・父方祖父母・母方祖父母の6つ(シックスポケット)といわれていた子どものポケット数は実際にはもう少し多く、平均で7つという結果がでました。」という調査レポート。
ここから出てくるキーワードは、そう、「おねだり」です。
「おねだり」を活かした販売手法はこれまでもあり、たとえば子供服販売のナルミヤ・インターナショナルでは、通販サイト上に買って欲しい商品を選んでメールで送る「おねだり機能」を導入しており、ネット通販売上の10%にもなるそうです。
また、トリンプのオンラインショップもおねだりで有名な事例のひとつ。そこで販売しているネット限定ランジェリーdesir(デジール)は、女性の訪問者が、男性にメールを通じて欲しい商品をおねだりし、メールを受け取った男性が女性に代わって決済して購入する、というもの(詳細)。一説では、おねだりのCVRは80%とも言われています。
これまでソーシャルコマースの事例として出てくるのは、Grouponのような共同購入型のものや、Likeボタンと同時にローンチされた商品情報と友人のLikeを同時に見ることができるLevisのサイト、企業側にこれが欲しいとおねだりツイートをするとポイントアップする東急ハンズの事例などだと思いますが、どれも実際の知り合いや親族の気持ちに訴えかける、ソーシャルグラフを活かしきったものにはなっていないと思います。
消費者のポケットはソーシャルグラフの視点から見ると、数がふえるというだけではなく、そこに「おねだり」という心情に訴えるヒネリを加えることで、実際の購買にもよりつながりやすくなるのではないでしょうか。