先日、Engagemetという言葉を見直してみよう、という趣旨のエントリを書きましたが、そもそもきちんと理解すべきはこの言葉でしょ、ということで「ソーシャルメディア」。
最近IBMが279名のオンライン、ダイレクトマーケティングの担当者に行った調査"The State of Marketing 2011"によると、対象のうちの53%がソーシャルメディアを活用しているものの、
(ソーシャルメディアに対する)マーケターの熱意は昨年より下火になっている。高すぎた期待のピークを経て、今はソーシャルチャネルが生みだす価値を見出すことに注力している。
という傾向がみられたそうです。
これまでの広告に代わるもの、新しいクチコミの手法、コスト効率よく実施できるマーケティング等などの期待があったことが想像に難くありませんね。
その期待の落差を生むけん引になったのが、相互に矛盾する要素を持つこの「ソーシャル」「メディア」という言葉なのかもしれません。
その2つの言葉の意味合いについて整理しているブログがあったのでちょっとご紹介。
Media = 金銭の支払いを伴うものMedia = コストを伴う広告でメッセージをコントロールできるMedia = 1対多の一方向の情報配信Media = リードタイムの長い、単発型のコンテンツ
Social = 金銭の支払いを伴わないもの(この部分は広告主に最も魅力的でもある)Social = コントロールを失うだけではなく、それを受け入れた上でプランするSocial = 「メッセージ通り」という考えを捨てるSocial = 双方向、1対1、多対多、そして個人的Social = 継続的、迅速でリアルタイムのやりとりが非常に短いリードタイムで行われる
「ソーシャルメディア」という言葉は、オンライン上の様々なソーシャルなるものを包括する非常に便利な言葉である一方、人によってとらえ方が異なるだけでなく、使われる文脈によっても意味することが異なる用語。
伝統的メディアや、広告的な発想のままソーシャルメディアについて話す人もいますし(フォロアーがたくさんいれば多くの情報発信ができるようになる等)、人によってはFacebook=ソーシャルメディア、という極端な人もいるでしょう。人と人の新たな繋がり方や新しいプライバシーのあり方という意味合いで使われることもあるでしょう。
では、ソーシャルメディアの代わりにどういった言葉を使えばいいのでしょうか?
Forrester reserchのエントリ"Why Social Media Sucks"では、様々なものをSocial Mediaと一緒くたにしない呼び方を提案しています。
人々がオンライン上で繋がりあい、良さをお互いに引き出すものはSocial WebまたはSocial Internetと呼ぶことができます。これにはMySpaseやコミュニティ、YouTube、ブログなどが含まれます。
顧客や潜在顧客が集い、ブランドと繋がり、参加者が相互に繋がる場を作りたい場合、それはSocial applicationと呼ぶことができます。これはコミュニティ、UGCサイト、さらにサイトに評価やレビューをつけることをも含みます。
FacebookやMySpace、TwitterやYouTbeのような巨大なソーシャルサイトについては、Social Network サイト(もしくはsocial networkと略すのも可)と呼ぶことができます。
このエントリ自体が書かれたのは2009年。確かにこのような呼び分けは有効な感じがする一方、今だSocial Mediaという言葉が使われているのは、この言葉が矛盾をはらんでいる一方、なんだなんだで使いやすいからなのでしょう。
いずれにしても相反する意味合いを含んだ用語である、ということは理解しておきたいですね。
ご参考: