ソーシャルメディアマーケティングにおいて、重要な指標とされる、"Engagement"。
もとはサルトルの用語で、フランス語(アンガージュマンと発音)。英語ではcommitmentと訳されることが多いそうなのですが、日本語にするのが非常に難しく、個人的には「関わりあいを深めること」という意味合いで使い、このブログでも幾度か取り上げてきました。
筆者自身どうもまだ理解が足りないと感じているのですが、「Engagementという言葉を見直そう」というエントリがForrester reserchのブログで公開されていたので、抄訳にてご紹介。
2007年、Forresterが"Engagement"をマーケティングの主要な指標として提唱した際、このように定義していました。関わりの度合い(the level of involvement)、交流(Interaction)、新密さ(intimacy)そして影響(Influence)。
しかしながら、この言葉は現在、定義のうちの最初の2つ「関わりと交流」の意味で使われています。
有能なマーケターならこの2つだけでは結果に結び付けるには不十分だと分かっています。
よく見られるのがマーケターやエージェンシーがクリックや、訪問、滞在時間、ダウンロードなど様々な指標にすり替えていることです。これではビジネスの結果に結び付けることは到底できません。
だからこそ、「親密さと影響」というengagementの残り2つの定義が重要になります。なぜならそれは顧客の関心を得ることの(attention)インパクトを表しているからです。「親密さ」はブランド認知やブランドとの親和性、感情などの質的な側面を表しています。また「影響」はクチコミでの共有されやすさ(例:シェア率やネットプロモータースコア)を表しています。
ではどのようにしてEngagementを軌道に乗せることができるのか?
プログラムの目的を明確にして、様々な最新技術による指標に惑わされないことです。例えばセールスなら、交流を促し、購入して推薦してもらうためのEngagementが必要です。ブランドの場合なら、「関与、交流」の指標に加え、「新密さと影響」についても理解ができるアプリケーションが必要になります。そうすることで、マーケターもエージェンシーも事前に設定した目的に立ち返ることができます。
interactionやinvolvementのように、数字に置き換えやすい、すなわち投資に対して正当性を持たせる報告書に使いやすいものに意識がいってしまい、その数字は中身を伴っていない可能性もあります。
とはいえ、感情分析をするためにブランドについて語られるコメントの全てを整理把握、分析するには多くの人的リソースを必要としますし、マニアックに追求しすぎてもそれは独りよがり。
有料の感情分析ツールなどを使うこともできますが、レポートのためにコストを割く、ということになってはちょっと本末転倒。
筆者自身が関与しているアカウントにおいては、全体的な傾向の把握(何が、どのように評価されているか等)を主に行い、ブランドに対する評価を文脈で追いかけるようにしています。
ソーシャルメディアにかけられるコストと、それに見あうEngagementの評価方法。
まぁ、なんというかこれという決定打が無い分、永遠の課題とも言えそうですが、会社や事業者、プロジェクト単位で設計して関係者がそれに納得するような合意形成をするしかないですかね。