2011年3月3日木曜日

ソーシャルメディアに対する評価はポジションによって異なるべき:小さな勝利の積み重ねが全体に貢献するという考え方




ソーシャルメディアの話をする際について回るのがROIをどう考えるんだ、という話。

ただそのROI、立場によって見方も変わり、求められる情報も変わるのが当然。

フォレスターリサーチが最近発表したレポートに、そのことが記述されているようで、その一部が公開されていました。上の画像はどんな指標が誰に必要かを示したものです。

例えばソーシャルメディア担当の場合、

視点:デジタル
指標:ソーシャルな機会(ファンやフレンドの数、メンバーや訪問者数など)とソーシャルの健康度(投稿やコメント、感情など)
頻度:1時間ごとないしは一日ごと
ツール:傾聴プラットフォームやWeb解析ベンダー
マーケティング担当の場合、

視点:ブランド
指標:ブランディング(認知や購入意向など)と製品の試用(見込み客づくり、サンプリングなど)
頻度:キャンペーンごと
ツール:調査

取締役の場合

視点:財務
指標:売上(コンバージョン、顧客生涯価値など)
頻度:四半期または年に1度
ツール:CRMツールや調査など

とされています。



このチャートを紹介しているフォレスターのブログの説明もともても素晴らしいものでした。

なぜこの順にしたかというと、左から右に行くにしたがい、会社の重要ポストになり、またレポートの頻度も下がるためです。

ただ、もっと重要な理由は、それぞれのグループの成功には前のグループの成功が必要だからです。

コミュニティマネージャーのデジタルな指標は、ソーシャルメディアマーケティングの成功を示すものではありません。が、その指標は担当者のパフォーマンスを示すものであり、そこでの小さな勝利の積み重ねはマーケティングチームが成功するための土台となります

同じようにブランドや試供というマーケティングによるソーシャルメディアの指標はソーシャルメディアにおけるビジネスの成功を示すものではありませんが、マーケターがソーシャルメディアを有効活用できていることを示しており、企業としてソーシャルメディアから必要とする価値をそれなしに得ることはできません。

最後に、取締役が見る売上やその他の財務指標はそれ以前の過程での成功の上に立っています。

そう、だからTwitterで売り上げがこれだけ上がった!とかFacebookでものが売れた!なんて短絡的な指標ではなく(ソーシャルコマースは別だと思いますが)、全体の中でで果たしている役割や貢献についてKPIをたてて、一つ一つ見ていくことが重要なのだと思います。
 
蛇足になるかもしれませんが、話を分かりやすくするために、あえてスポーツを例にしてみるとこんな感じだと思います。

・ソーシャルメディアは「基礎体力/技術」
・マーケティングは「試合」
・取締役が見るのは「年間成績」

基礎となる体力や技術を養うためのKPI、試合におけるKPI、それぞれ性質が異なると思いますが、相互に強く関連しあっています。

また、スポンサー獲得や賞金などにかかわる財務指標が年間成績、と考えるとマーケティング全体として、ソーシャルメディアを含めてどれだけ勝利に貢献できたか、という評価になると思います。
 
こんな考え方、いかがでしょうか?