2011年1月31日月曜日

自分と同じような人とCEOの情報の信頼度がついに逆転:「クチコミ」の濫用の弊害か?


via flickr by Meer

昨年もこのブログでご紹介した、PR会社のエデルマンによるTrust Barometer(信頼の指標)調査。

昨年のハイライトのひとつが、ソーシャルメディア自身が「自分と同じような人」の信頼性を「希薄化」:知り合いや仲間を信頼する割合が低下したことを示すデータ」という結果。逆に信頼性があがったのが企業のCEOなどであり、企業のメッセージを伝えるためにも企業トップの存在感をソーシャルメディア上で強める意義が強まっているといえる、という意見をご紹介しました。


さて、今年はどうだったのでしょうか?

昨年の、「友人の信頼度が下がり、権威者の信頼度が上がる」という傾向がさらに強まったようです。 

2010年発表データ


2011年発表データ


"Person like yourself" と "CEO"の順位が完全に逆転しましたね。この傾向は当分続きそうな感じもします。

こういった現象が起こった原因として考えられるのが、

受け取る情報があまりにも多くなりすぎ、またマーケターによるソーシャルメディア活用が多くなりすぎたために、「自分と同じような人」ではなく専門家や企業トップの生の発言の信頼性が相対的に増した
ということ。

個人的に好きではないのが、たとえば企業やその関係者によるこういうRetweet。

RT @UserName A社の新製品Bを早速使ってみみたけど最高!

ユーザーからの推奨を「クチコミですよ!」といわんばかりに利用しようとしているだけで、ユーザーとの関わり合いを深めようという姿勢が感じられません。

また、先日明らかになったFacebookの新しい広告"Sponspred Story"も実は同じような理由で、個人的にはあまりいい感じがしていません。

                    via adage.com
さて、エデルマンの調査結果に戻ると、Technical expert within the company(例えば開発者)からの情報の信頼度が上位に食い込んでいるのも見逃せません。

伝統的なPRをやってきた人間からすると、社長インタビューと開発者インタビューに類する活動をソーシャルメディアでやりましょうよ、といいたくなります。

以前書いたエントリ「トップ自らが積極的に参加する、米トヨタのソーシャルメディアを活用したダメージコントロール」はその事例のひとつ。トヨタがアクセルペダルの問題でリコールをしたときの危機管理の時、TopのJim Lentz氏が自らソーシャルメディアでユーザーと対話をしています。

今回の調査結果を考えると有効な施策であるといえますね。

調査レポートはこちらからご覧いただけます。