先ごろ開催されたWorld Business Forumで、グランズウェルの筆者として有名な、Charlene Li氏がソーシャルメディアのROIについて興味深い話をしたそうです。
公演の途中、彼女は全聴講メンバーに隣の人と握手をするようにお願いしました。そして、彼女は彼らにその握手のROIを説明するよう求めました。
これはさすが、ですね。
握手=社交的行為の象徴のようなものであり、ソーシャルメディアを企業が活用することの意味をわかりやすく例えています。
人と挨拶をすること
人と食事をすること
人と飲みにいくこと
人とゴルフをすること
こうしたことはすべて社交的な行為であり、ROIを出せ、というのは無理があるということは理解できるでしょう。
社交的に行動することで、突然よい話が関わり合いのある人から舞い込んでくるかもしれないし、何もないかもしれない。接待を通じて商談がまとまるかもしれないし、まとまらないかもしれない。
でも人付き合いを通じて蓄積されるものは確かにあります。
ソーシャルメディアは直接目に見える利益を生む場合もあり、ネットの世界でのできごとなので、どうしても計測し、数値化することが当たり前のような感覚になりがちですが、バナー広告やリスティングのようなものとは異なり、エクセルで管理できるようなものではありません。
では、どうすればいいのか。
ソリューションはいたってシンプル。ソーシャルメディアでやろうとしていることを比較するのをやめ、測定方法の比較をやめること。
その代わり、ネットワーキングのイベントへの参加についてどのように考えるか、ソーシャルメディアの価値について考え始めること。カスタマーサービスや、ロイヤルティの分野において、既存の顧客とどのように関わり合い、自社についてどう語り、何度もリピートしてもらうか。こうした活動に対するROIは大きいものです。もっとも細々と管理されたエクセルの表にはそぐわないでしょうが。
昨日参加したセミナーで人事部にソーシャルメディアを使わせてみればいい、という発言がありました。直接的な収益貢献をそもそも期待されない分野であれば、ROIを明確化しようという発想にはならないので、面白いなと思いました。
収益を生むかもしれないものへのROI、目標値は設定できても、それは評価の一部でしかないと思います。
ご参考: