先週、PR関係の仕事をしている人たち6名での飲み会があり、まぁ色々な話題が出たのですが、そのひとつが「プレスリリース」。
企業がメディアの記者向けに作成、配布していたプレスリリースは、ネットの普及により、今や消費者が直接目にするものとなり、オンラインでのリリース配信サービスは、ネットPRの代名詞のひとつとなっています。
上の動画はアメリカで展開するサービス「ソーシャルメディア 時代のプレスリリースビルダー」と銘打たれている、"PitchEngine" の使い方を紹介しているもの。
基本的には今日本にあるリリース配信サービスに機能がいくつか追加されている感じですが、企業別のフィード購入の設定や、LinkedInへのシェアを全員ではなく、特定の人やグループに指定できるなどの工夫は評価できるところ。
さて、ソーシャルメディアの普及で「リリース」という情報伝達手法はどう変わるのか。
これは今後なされていく議論だと思いますが、ちょうどタイムリーにリリースの将来についてコメントを集めているエントリがあったのでご紹介。
Social Public Relations 創業者 Amanda Miller Littlejohn 氏「プレスリリースが消え去ることはないと思うが、変化してきてはいると思う、生きて呼吸しているものに。リリースが、読んだ人がコメントし、自分のソーシャルネットワークでシェアするような、ソーシャルな要素を持たないなら、それは足が無いのと同然。」BLASTmedia のバイスプレジデント Lindsay Groepper 氏「10年以上も前にPRの仕事を始めたころ、eメールか FAX (!)を使い、プレスにテキストのプレスリリースを送っていました。いま私たちが目にしているのは、ソーシャルメディアによる情報伝達の新しい方法です。プレスリリースをメールで配信するよりも、PR担当者は記者に対し、特定の案件の発表を行うカスタムランディングページだけを知らせたり、Twitterを通じてリリースのリンクを送ったり、もしくはCEOが発表をしているメッセージ付きのYouTube動画へ誘導してもいいかもしれません。」Vistaprint’s Public Relationsのマネージャー Jeff Esposito 氏「次の5年で、異なるオーディエンスに向けられた様々なタイプのプレスリリースを目にすることになると思います。まず、動画フォーマットのもので、最初に短い説明と企業の情報源からのニュースのリンクが付いたもの。5W とインタビューの抜粋からなり、報道に使用することができます。次に、今日使用されているソーシャルプレスリリースの発展版で、より内容が簡素で絞り込まれたもの。最後は企業のボイラープレート(定型の説明文)や株価や不可情報のような今見ているのと同じようなものです。」Cisco Systems のPR ディレクター David McCulloch 氏「過去数年間、プレスリリースのフォーマットは、メディアのマス消費から個人消費もしくは"pull"型メディアへというソーシャルシフトの加速を反映して顕著に変化してきました。そのシフトこそ、Ciscoを記者やレポーターに書いてほしいことを伝えることに時間を使うことから、Ciscoがしていることが彼らの関心にどのようにフィットするかを理解してもらうことに使うように変えたのです。プレスリリースが次にどうなるかは明白です。より短く、より多くの情報にリンクし、簡素化と説明に特化し、より多くのタイプが現れるでしょう。つまり実際のところ、プレスリリースはコンテンツをテキスト、動画、SMS、マイクロブログ、ポッドキャストの形式で、読者がそのとき選択するどんなデバイスにも伝達するようになるでしょう。しかもできることなら、複数の信頼できる情報源によって、事前に確証され、オープンに評価された形で。」Edelman Digital のアカウントスーパーバイザー、Kelly McAlearney氏「記者や消費者との関わりあいはこの5年間で大きく進化し、より簡潔なフォーマットに向かっています。もっとも効果的なピッチ(売り込み)は最も簡素なものであることもしばしばです。やり取りも自然に短くなり、多くのブランドはコンスタントでダイレクトなコンタクトを消費者やメディアとオンラインのチャネルを通じてとっています。」
PR担当者の飲み会でも話題に出たのは、多くの種類のリリースの読者が現れる中、全て同じフォーマット、同じ内容でいいのだろうか?という疑問でした。
伝統的なフォーマットのプレスリリースはネットPRによって、前より簡素になり、ブックマークやTwitter、Likeボタンの機能などが実装されるようになりました。
こうした流れや、上記の様々な意見から見えてくるリリースの未来とは?
1. デジタルで提供されるリリースは、今後さらに簡素になり「あらすじを伝える骨格」が多チャンネルリリースの統一フォーマットになる
2. 詳細やマルチメディアコンテンツはより多くのリンクを通じて提供される
3. ソーシャルにシェア、評価する機能がさらに進化する。
ということになりそうな気がします。
リリースの情報は、記事として取り上げる記者はもちろん、直接リリースを読む一般ユーザーの選択に応じて、深さも広がり方も変わってくる、そんな風になっていくのかな、と。
その一方で、会見の場で配布したりや手持ちで記者に届けたりするプレスリリースにも、別次元の価値が依然あるので、オフラインまでを含めて統一フォーマットで、とはいかなそうですね。
ご参考:
Posted via email from Capote's Connected Communications - 続・広報の視点