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記事のAPI公開や、記者のTwitterアカウントの公開、従量制による有料版の導入など、ソーシャルメディア時代に対応したメディアのあり方について積極的に取り組んでいるThe New York Times。そのDigital OperationsのSPV、Martin Nisenholtz氏が、ウォートンビジネススクールでの"Future of Publishing"と題されたカンファレンスで行ったスピーチが公開されていました。
そのスピーチのテーマはずばり"Engagement"。筆者はEngagement=(企業が)個人との間に「人間関係や人間性(感情・血の通った温かみ)を強い意志とともに持ち込むこと」と解釈していますが、日本語訳が難しい。いろいろ悩んだ末、しばらく「関わりあい」という訳語を使ってみたいと思います。
さて、スピーチの主題である「関わり合い」については、明確な解はないものの、
私たちはユーザーとの本質的な関係性を再定義する好機にあります。彼らとの契約をゆるく、自由でカジュアルなものから、感情面でのコミットメントのある「関わりあい」へと。We have an opportunity to redefine the essential relationship that we have with our users—and change the contract we have with them—from one that is loose, free and casual, to one of real emotional commitment. Engagement.
と結ばれています。また、そのスピーチの中で語られていたFacebookのCOOの話がとても興味深いものでした。
ユーザーとの関わりあいを持つことの女王ともいえるFacebookのCOO、Sheryl Sandberg氏が数週間前、New York Timesに来社した。ミーティングの席で彼女は、今ユーザーの中で起きている4つの「シフト」についての概要を語った。・匿名性から実際の身元開示へのシフト (The shift from anonymity to real identity)・PullからPushへのシフト (The shift from pull to push)・一時的から恒常的へのシフト (The shift from temporal to permanent connections)・「何」から「誰」へのシフト (The shift from the “what” to the “who”)
とくに2番目の、「PullからPushへ」は、広告的な企業からのPushに戻るということではなく、言わば"Social push"とでも呼ぶべき、ユーザーの推薦による受け入れられやすいPushのことを意味していると思います。
これは、増えすぎた情報の整理はもはや(Pullによる)検索では不十分で、知り合いの推薦(まさにLikeボタンによるPush)に移行する、と言う意味だと受け取れます(ご参考:ソーシャルメディア自身が「自分と同じような人」の信頼性を「希薄化」:知り合いや仲間を信頼する割合が低下したことを示すデータ)。
このことは4番目の「何から誰へのシフト」とも関係していますが、Googleへの対抗ともいえそうな発言ですね。
この4つのシフト、いかにもFacebookらしい見方ですが、これからのソーシャルメディアマーケティングや、オンラインでのサービス作りで気にしておきたい重要なエッセンスだと思います。
ご参考:
Posted via email from Capote's Connected Communications - 続・広報の視点