via prweeek.com
NestleのFacebookファンページがGreenpeaceの「強襲」を受け、炎上していることは、一部の方はご存知だと思います(日本でも@IHayatoさんが速報を出しています)。Greenpeaceの主張は、ネスレは製品に使っているパームオイルを採取するためにインドネシアの熱帯雨林を破壊し、オランウータンが危機に瀕しているというもの。
ざっと経緯をまとめると、
1. 3/17 ロンドンのネスレ本社前に、Greenpeaceがオランウータンのコスチュームを着て抗議活動を開始(上の写真)。
2. 同日、職場でキットカットを食べている男性が実はオランウータンの指を食べているビデオをYoutubeに公開。
3. これがNGO団体ネスレのやステークホルダー/アンチネスレファンを刺激し、Facebookファンページも炎上。
4. 3/18 英Gardian紙が、"Nestlé is fighting a PR battle with Greenpeace" と報じ、世界的なニュースとなる。
5. このようなアイコンを使うユーザーが増え始めたため、ネスレはファンページで、「ロゴを変えて投稿されたコメントは削除します」と発表したため、これがさらに炎上を加速させる。
ということのようです。「5」については、208件のコメントがついており、ネスレ自身も以下のようにコメントをしています。
Nestle
皆さんには言論の自由はありますが、ここでは我々が決めたルールがある。他の多くのフォーラム同様に。you have freedom of speech and expression. Here, there are some rules we set. As in almost any other forum
ファンの投稿の削除もさることながら、このコメントもなんとも頑なな、ソーシャルメディアには受け入れられそうにないものといえますね。
Greenpeaceも特設サイトを設け、誘導のバナーを買うなどして、キャンペーンを続けています。
もちろん、ネスレ側もFanページで何もしていないわけではく、
2015年までに環境破壊をしない形で採取したパームオイルだけを使うようするコミットメントを発表しました。詳細は、http://tinyurl.com/yhamekgWe recently announced our commitment to using only "Certified Sustainable Palm Oil" by 2015. Read more here: http://tinyurl.com/yhamekg
と、ポジティブな情報を発信したり、Q&Aを公開・そこへのリンクを張るなどしていますが、2015年では"too late"という反応が大半で、ボイコットを表明する声は後をたちません。
ちなみに2015年までにパームオイルの採取法を変えるという発表はGardianに掲載されてもいるものの、テクノロジーがもたらす皮肉と言うべきか、その記事自体が下のようにGreenpeaceの攻撃にさらされています。
多くのブログなどで語られているように今回のNestleのFacebookファンページの炎上は、ソーシャルメディアエキスパートがいない、コメントの削除に代表されるような不適切な対応をしている、きちんと謝っていない、などによるものといえますが、それは物事の表層でしかないと思います。
今回の件で筆者が注目すべきと思ったことは、
1. 擁護するファンが非常に少ない。
2. ソーシャルメディアだけでは解決できない。
ということで、この二つは表裏一体の関係にあります。
ファンページに寄せられているコメントを大別すると、「自分はネスレの製品が好きだったが、買うのをやめる。」というトーンのものと、「オランウータンを殺すな」というものになります。
CNETの記事についていたコメント欄に今回のことの本質が集約されていました。
自分はネスレやグリーンピースが何をしていようが気にしない。ただし、パームオイルの問題は現実であり、人類を危機にさらすものだ。I don't care about what Nestle is doing or this Greenpeace crap. But the Palm Oil issue is real and is a threat to humanity.
要するに「環境問題とあっては」いかにファンであっても、地球に生きる一個人として擁護のしようが無い、ということだと思います。
ネスレが様々な分野でCSR活動を行っていたとしても、この件で思い切った具体策を出さない限り、ネスレの道は長いものとなるでしょう。
ただし、解決までの過程でソーシャルメディアを有効に活用することはできるはずです。解決策への取り組みをできるだけオープンにし、意見を取り入れ、(社員を登場させるなど)企業としての顔が見えるようにしながらコミュニティで会話をしていくこと、これからのネスレに必要なのはこういうことではないでしょうか?
最後に、Facebookファンページに寄せられていたコメントをひとつご紹介します。
私は以前ネスレで働いていたことがあり、私の父は今もネスレで働いています。ネスレは環境と人への支援活動を、皆さんが知る以上に数多く行っています。だから、このことに首を突っ込んで、彼らを攻撃するのをやめたほうがいい、なぜならあなたたちは魅力的なものを知らないヒッピーたちと抱き合っている木々のようなものだからです。
I've worked for them before and my father still works for them and they do more for the environment and people than you'll ever know so pull your heads out and stop attacking them because your a bunch of tree hugging hippies who don't know a dang thing.
Posted via email from Capote's Connected Communications - 続・広報の視点