2010年3月17日水曜日

"Fans First"の気持ちをもって、F1層向けに実施たTwitter中継

Fans First Logo

大企業でソーシャルメディアマーケティングを実施するのは様々な調整を伴い、容易ではありません。

筆者が現在所属している会社は世界的によく知られたブランドであり、日本にもファンが数多くいます。それゆえ、ソーシャルメディアマーケティングのようないわば「ブランディングを参加者に委ねる」チャネルに対してはなかなか踏み込めないのが実情ですが、「何もしないでいること自体がリスク」でもあるわけで、先日ささやかながらソーシャルメディアマーケティングを行いました。

実施したのは記者発表のTwitter中継。

いまさら何を、と言われそうですが、ブランドのターゲットが年齢区分で言うところのいわゆるF1層であり、Twitterビギナーを対象に実施した点でわりとユニークだったんじゃないかと思います。

筆者は、「無理してソーシャルメディアマーケティングをやる必要はない:ソーシャルメディアマーケティングとPRの高い親和性」というエントリを書いたこともありますが、「取り合えずTwitter」的なアプローチだけはしたくなかったので明確な目的設定をしました。

それはコカコーラではありませんが、まさに

"Fans First"

でした。ファンの方を記者発表会場にお招きできれば一番いいのですがそれは無理。Twitter中継であればメディア露出より早く製品情報や会社からのメッセージなどを臨場感をもって伝えることができます。

このエントリではその設計部分にフォーカスしてご紹介したいと思います。

そもそもF1層のどのくらいの人がTwitterをやっているの?
始める以前にまずどの程度のユーザーがいるかを把握しておく必要がありました。社外のリソースとしてはカフェグローブが実施した調査を参考にさせていただきました。

twitterやってる? 
もちろん! 1年以上前からやってます  3.72% 
最近(この半年以内)はじめました  25.42%
気にはなるけどやってません  35.59%
興味なし、やる予定もなし  30.16%
何、それ?  5.08%

カフェグローブの訪問者の属性を考えれば、F1層の約3割がアカウントを持っている、と言うことができそうですが、そのほとんどが(昨年末からの)テレビの報道などをみて登録したライトユーザーであることも見て取れます。

アクティブユーザーでなくても大丈夫?
上記のデータを受け当然この疑問がわいてくるわけですが、結論から言うと問題ありませんでした。フォローしてくれたユーザーの多くのアイコンはデフォルトのままで、フォロー/フォロアー数も10名以下という状態でしたが、後述するPV数やUU数を見る限りは問題なかったといえます。ポイントになるのは「このTwitterアカウントでしか得られない情報」を提供できるかどうかだと思います。

KPIは?
会社でコストをかけて実施する以上何らかのKPIの設定は必要。ここでは一般的なフォロアー数とPV数やUU数、リプライの定性分析を指標としました。フォロアー数についてはアクティブユーザーでなくてもフォローしてもらえるかどうかが分からなかったため、強気の読みと弱気の読みとで算出しましたが、結果的には強気の目標値に近いほうに振れた結果となりました。

フォロアーの集めかた
実はもっともこだわったのがここ。「フォロアー数の多いアカウントを持っている人にツイートしてもらえはいい」というような安易な意見も出てくる中、筆者はかたくなにFans Firstにこだわりました。別の言い方をすると、ファンではない人には知られないように運営したともいえます。一般的に行うであろう、プレスリリースや広告、公式サイトからのリンクなどは一切行わず、「メルマガを通じた招待のみ」に限定しました。

携帯
F1層のソーシャルメディア利用(mixiやアメーバ、モバゲーなど)の閲覧は、言うまでもなく携帯経由が大半です。またメルマガ経由の招待でもあったので、携帯電話対応には非常に気を配りました。準備の時間は非常に短かったのですが、PCと携帯で表示変換可能な画像アップロードサイトを自社で構築しました。ブランド管理の理由からtwitpicなどに画像をおきたくなかったのと、PV数やUU数を計測するためです。また、携帯のメルマガからの誘導は"twtr.jp"にするなどの配慮を行い、ツイートする際もPCと携帯とで別のURLを用意しました。

ガイダンス
対象がTwitterに詳しくない人中心であったため、Twitterアカウントに訪問した際に、「フォローの仕方」「ハッシュタグの使い方」「Twitterの公式FAQへのリンク」などがファーストビューで分かるよう事前にツイートをした状態でお迎えしました。 

と、設計から準備において配慮したことをまとめましたが、結果としては成功だったと思います。フォロアーは十分な数が集まり、画像ページへのPVやUUについても申し分の無い結果でした。

ご参考までにPCと携帯のアクセスに関して言うと、PCと携帯からのPV数/UU数はほぼ同数で、携帯への配慮の重要性を裏付ける結果となりました。また、Twitterビギナーを対象としておこなうことは、同時にTwitterの楽しみ方を伝えることでもあり、データを見る限りでは楽しんでもらえたのだと思います。

実際、このアカウントを見るためにTwitterに登録した、楽しい体験であった、今後も続けてほしい、というような声や、ブランドに対する具体的な意見を聞くこともできました。

さて、イベントをきっかけに立ち上げたアカウントですが、今後もFans Firstの気持ちをもって定期的にアクティブにしていきたいと思います。 

Posted via email from Capote's Connected Communications - 続・広報の視点